誹謗中傷の内容が含まれた記事は、削除命令により記事を消してもらう事が大切です。もし、名誉毀損を理由に損害賠償を請求したい場合、投稿者のIPアドレスを知り、犯人を特定する必要も出てきます。そこで、IPアドレスをサイト管理人に任意で開示してもらう方法を紹介していきます。
IPアドレスとは何か
IPアドレスは、パソコンやルーターなどの設定されている、いわばインターネット上の住所のような存在です。IPアドレスには大きく分けてインターネットに接続されない「プライベートIPアドレス」と、ルーターに振り分けられる仕組みである「グローバルIPアドレス」が存在します。
グローバルIPアドレスには動的アドレスと静的アドレスがあり、動的アドレスは数字がその都度変化するのに対し、静的アドレスは数字が固定されています。動的アドレスはネットに接続する際、IPを管理するISPによって割り振りが行われ、接続が切れたり、一定の時間が経過したりすると数字が変化します。静的アドレスはルーターの機能であるNATで使われ、IPが変わると困るWebやメールの機能を作る時に使用されます。
仕様上、犯人の特定は可能なのか
IPアドレスから個人情報の特定する事は不可能ではありません。基本的に、IPを振り分けるプロバイダが存在するため、記録が残っているのであれば、誰が使用したのか、記事を投稿したのかが分かります。プロバイダが契約情報を管理しているため、個人情報とIPを結びつけますと、仮にサイト上では匿名やニックネームを使用していたケースに関しても、個人情報を特定できるのです。
もちろん、個人情報を特定するよう対応できるのは、事件に発展しているなど、明らかなトラブルが起こっている場合がほとんどで、理由なしに探る事は出来ません。弁護士や警察、裁判所からの申し立てがある場合、発信者情報を知れます。
発信者情報を管理人に開示してもらうには
誹謗中傷などを理由に発信者情報を管理人に開示してもらうには、はじめに管理人に連絡ととらなければなりません。プロバイダ責任制限法により、インターネットの書き込みなどを理由で損害を受けた場合、サイトの管理人に発信者情報を開示するよう請求できるのです。通常は発信者情報開示請求と削除の申し立てをする送信防止措置依頼を合わせて行います。
これらの手続きを行い、サイトの管理人が書き込みをした犯人のIPアドレスを開示してくれますと、犯人特定やその後の手続きをしていけます。犯人の特定をし、削除請求に応じてくれますと、その時から誹謗中傷の記事が削除されますので、情報が拡散したり、被害が拡大したりする可能性を防げます。
プロバイダ責任制限法に基づき、IPの開示及び削除の請求をしても、サイトの管理人が任意で応じないケースもあります。主に、裁判外である発信者情報開示請求を行っても、対応してくれない場合です。このシチュエーションでは、サイト管理人に対し、仮処分の手続きを行わなければなりません。申し立てや証拠などの必要書類を提出し、裁判所に仮処分が認められますと、裁判所から管理人へと柵上命令と発信者情報開示の命令が出ます。仮処分が決定すると誹謗中傷の記事は削除されるため、残りは犯人の特定の対応のみが残ります。
プロバイダの特定と情報開示
サイト管理人より、任意でIPアドレスが開示されましたら、その情報を元に犯人が使っているプロバイダが分かります。IPを把握さえしていれば、プロバイダの特定は簡単で、インターネット関連に強い弁護士に依頼すれば、解析を素早く行ってくれます。プロバイダを特定しますと、プロバイダに連絡し、犯人の氏名や住所などの情報を求めます。このような情報を求めるのも、プロバイダ責任制限法に基づき、対応は可能です。
任意でプロバイダが情報開示に応じてくれれば、犯人の詳細が分かります。しかし、プロバイダにとって犯人はあくまで顧客であり、個人情報を保護する立場でもあることから、素直に情報を開示してくれない場合もあるのです。任意での対応が見込めない場合、発信者情報開示請求の訴訟をプロバイダにしなければなりません。
被害者の主張や立証を行い、言い分が認められましたらプロバイダに対し、裁判所から情報開示の命令が出ます。訴訟を起こすとなると、長くて半年近くの時間が判決までかかりますが、判決が出ると素直に犯人の情報を教えてくれます。
弁護士に依頼してスムーズで確実な対応を
サイトの管理人に犯人のIPアドレスを開示してもらうには発信者情報開示請求を行い、合わせて記事の削除に必要な仮処分の申し立ても必要です。
仮に犯人を特定した場合、その後には名誉毀損を根拠に慰謝料の請求もしなければなりません。これら一連の流れは、法的知識の乏しい一個人が片手間で出来るほど簡単なものではないです。したがって、法律に詳しい、さらにインターネット関連のトラブルに強い弁護士に依頼する方が、確実でスムーズに手続きを進める方法でしょう。